「老後資金2,000万円問題」が叫ばれる昨今、将来への不安から投資を始める人が増えています。
投資初心者にとって、まず選択肢に挙がるのが「つみたてNISA」や「iDeCo」。
そして会社員であれば、「企業型DC」にも加入できる場合があります。
「いろいろ制度があって、どれを選べばいいか分からない…」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
今回は、 新NISA・iDeCo・企業型DC の3つの制度について、
メリット・デメリットを徹底比較 し、 どの制度で運用するのが最もお得なのか を解説します。
特に、将来のお金を受け取る際の 「出口戦略」 を踏まえた解説と
具体的なシミュレーション で、あなたにとって最適な制度を見つけるお手伝いをします!
投資初心者のための制度解説
まずは、それぞれの制度について簡単に説明します。
(1) 新NISA
2024年から始まった新しいNISA制度。
「つみたて投資枠」 と 「成長投資枠」 の2つの投資枠があり、
年間最大180万円 まで非課税で投資できます。
・つみたて投資枠
長期・積立・分散投資に適した投資信託に限定して、 年間120万円 まで非課税投資できます。
・成長投資枠
個別株や投資信託など、幅広い商品に 年間60万円 まで非課税投資できます。
非課税期間は無期限 で、運用で得た利益は非課税のまま保有し続けられます。
(2) iDeCo(個人型確定拠出年金)
自分で掛金を拠出し、運用する私的年金制度。
掛金は全額所得控除 になるため、所得税・住民税が軽減されます。
運用益も非課税で、 60歳以降に年金または一時金として受け取れます。
(3) 企業型DC(企業型確定拠出年金)
会社が掛金を拠出し、従業員が自ら運用方法を選択する制度。
企業型DCには、 「マッチング拠出」 という制度があり、
従業員が自ら掛金を上乗せすることも可能です。
iDeCoと同様に、 掛金は全額所得控除、運用益は非課税となり、
60歳以降に年金または一時金として受け取れます。
新NISA vs iDeCo vs 企業型DC メリット・デメリットを徹底比較!
それぞれの制度の特徴を理解したところで、 メリット・デメリットを比較 してみましょう。
制度 | メリット | デメリット |
新NISA | ・非課税期間が無期限 ・投資枠が拡大(最大年間180万円) ・幅広い商品に投資可能(成長投資枠) | ・掛金は所得控除の対象外 |
iDeCo | ・掛金が全額所得控除になる ・運用益が非課税 ・老後資金の準備に特化 | ・原則60歳まで引き出せない ・運用商品が限られる ・受け取り時に税金がかかる |
企業型DC | ・掛金が全額所得控除になる ・運用益が非課税 ・マッチング拠出で会社からの上乗せが期待できる | ・原則60歳まで引き出せない ・運用商品が限られる ・受け取り時に税金がかかる ・転職時に手続きが必要 |
知っておきたい!iDeCo/企業型DCの「出口戦略」
新NISAとiDeCo/企業型DCの大きな違いは、 「出口戦略」 の重要性です。
iDeCoと企業型DCは、 受け取り期間が60歳~75歳 (制度によって異なる)と決まっており、
受け取り方法も「年金」か「一時金」 のどちらかを選択しなければなりません。
つまり、 受け取り時期が固定されている ため、
もし受け取り時に暴落が起こっていたら、損失を抱えたまま受け取ることになるリスクがある のです。
一方、 新NISAは非課税期間が無期限 なので、
暴落時でも慌てて売却する必要はなく、価格が回復するまで待つ ことができます。
出口戦略①: 受け取り時の暴落対策
iDeCoや企業型DCで運用する場合、
50代後半になったら、徐々にリスク資産(株式など)の割合を減らし、
安全資産(債券や預金など)の割合を増やしていく出口戦略 が重要です。
具体的には、以下のような方法が考えられます。
・定期預金へのスイッチ
満期が受け取り時期に近づくように、定期預金に預け替え。
・バランスファンドへのスイッチ
株式と債券を組み合わせたバランスファンドに切り替え。
・低リスクな投資信託へのスイッチ
値動きの少ない債券型や不動産型の投資信託に切り替え。
出口戦略②: 退職金所得控除の活用
退職金にも税金がかかりますが、 「退職金所得控除」 という制度を利用することで、
税負担を軽減できます。
勤続年数が長いほど控除額が大きくなり、最大で1,500万円まで非課税 となります。
iDeCoや企業型DCを受け取る際は、
退職金とiDeCo/企業型DCの受取額の合計が退職金所得控除の範囲内になるように調整 することで、
税負担を最小限に抑えることができます。
【ケース別】シミュレーションでiDeCo/企業型DCのお得度をチェック!
具体的に、どのくらいの税金が軽減されるのか、 シミュレーションしてみましょう。
今回は、以下の条件でシミュレーションを行います。
- 年収: 500万円
- 勤続年数: 20年
- 退職金: 600万円
- 企業型DC積立期間: 20年
- 企業型DC月額積立額: 1万円、2万円、3万円
- 平均リターン: 5%
- 受取方法: 一時金
【結果】
月額 | 積立企業DC | 退職金+積立元本 | 運用益 | の税額 | 受取時非課税額 | 運用益の控除額 | 掛金の税控除額 | 合計の税控除後 |
1万円 | 1,011万円 | 240万円 | 171万円 | 15万円 | 34万円 | 48万円 | 66万円 | 945万円 |
2万円 | 1,422万円 | 480万円 | 342万円 | 52万円 | 68万円 | 96万円 | 112万円 | 1,310万円 |
3万円 | 1,833万円 | 720万円 | 513万円 | 112万円 | 102万円 | 144万円 | 134万円 | 1,699万円 |
企業型DCの月額積立額を増やすほど、税控除額も増えることが分かります。
また、参考として、積立月額3万円を 新NISA・特定口座 で運用した場合の税控除額はこちらです。
積立口座 | 運用結果 | 積立元本 | 運用益 | の税額 | 受取時非課税額 | 運用益の控除額 | 掛金の税控除額 | 合計の
新NISA | 1,233万円 | 720万円 | 513万円 | 0円 | 102万円 | 0円 | 102万円 |
特定口座 | 1,233万円 | 720万円 | 513万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
新NISAは運用益が非課税になるため、税控除額のメリットがあります。
特定口座は税制優遇がないため、税控除額は0円です。
今回のケースでは、iDeCo/企業型DCに3万円積み立てた場合が、最もお得な結果となりました。
注意点: シミュレーションはあくまで目安
シミュレーションの結果は、あくまで 「目安」 であり、
実際の運用成績や税制改正によって大きく変わる可能性がある ことに注意が必要です。
また、 ライフプランやリスク許容度など、個々の状況によって最適な制度は異なる ため、
安易に結論を出すのではなく、
ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談する ことをおすすめします。
まとめ|自分に合った制度で賢く投資を始めよう!
今回は、新NISA・iDeCo・企業型DCの3つの制度について、メリット・デメリットを比較し、
出口戦略を踏まえた具体的なシミュレーションを行いました。
どの制度が最適かは、
あなたの年齢、年収、投資経験、リスク許容度、ライフプランなどによって異なります。
それぞれの制度の特徴を理解し、
長期的な視点で自分に合った制度を選び、賢く投資を始めていきましょう!
補足:
- 記事内で紹介したシミュレーションツールは、あくまで参考としてご利用ください。
- 実際の税金や控除額は、個々の状況によって異なります。
- 投資にはリスクが伴います。
- 投資を行う際は、必ずご自身で十分に情報収集を行い、判断するようにしてください。
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